一部の人にとってクシャミや鼻水が酷くなってしまう一方で、他の人にはほとんど影響を与えないことには理由があります。また、お子さんが花粉症を発症するケースも、近年増えています。これには、親から子へと受け継がれる「遺伝的影響」と、生まれた後の環境が影響する「後天的影響」があります。
1. 家族間での遺伝的背景とアレルギー体質
複数の研究によると、花粉症は家族内で集団を形成する傾向があり、これには遺伝的遺伝が大きく関与しています。例えば、フィンランドの研究では、家族内での花粉症の発生に強い遺伝的関連があることが示されています。さらに、若年成人の双子を対象とした別の研究では、花粉症になりやすいかどうかは、その大部分が遺伝的要因によるものであることが明らかにされました。

2. 母親と父親の影響
花粉症の遺伝における母親と父親の影響は、研究によって異なる結果が示されています。一部の研究では母親の遺伝的要因が特に重要である可能性が示されていますが、子供の性別によって親からの影響の受け方が異なる可能性も示唆されています。研究では、母親のアレルギーは女の子に、父親のアレルギーは男の子にそれぞれリスクを高める傾向が示されています。このように、花粉症の親子の影響は遺伝的な要因も強く関連しています。
3. 後天的要因:腸内細菌叢の役割
遺伝が先天的要因である一方で、生まれた後の環境である後天的要因として腸内細菌叢が重要な役割を果たします。子供のアレルギーリスクは、出生様式、栄養、抗生物質の投与有無などに大きく影響を受けますが今回は割愛します。(周産期の話題は別の機会に)。

成長してからの花粉症は、腸のバリア機能の低下に関連します。2021年の研究では、ラットを用いた研究で花粉エキスを注射すると、短鎖脂肪酸の腸内での産生が低下し、腸のバリア機能が破壊されて花粉症が引き起こされることが示されています。
別の話題ですが、腸内細菌叢は家族間で似てくることが報告されています。特に同居している結婚関係にある配偶者やパートナーのように密接な関係(生活スタイル含む)にあると、腸内細菌叢の類似度が高まることが示されています。そして、兄弟関係も配偶者まではいきませんが腸内細菌が似てきます。(この研究では食事が異なっても菌が似ていると報告しています)
母親が花粉症で、それが腸内環境の乱れからくるものであれば、子供も類似した腸内細菌叢になり花粉症リスクが高まると予想されます。
そして、一人暮らしの人よりも結婚している人はより多様で豊かな腸内細菌を持っていて、その関係性が親密であるほど多様性が高くなることもわかっています。腸内細菌が多様であると、免疫が強化されてアレルギーリスクが低下します。

つまり、夫婦だけでなく、母と子のように生活習慣や親子間の関係が良好で触れ合いが親密になると、腸内細菌叢の類似度が高まり、その多様性も高くなると考えられます。花粉症などのアレルギーケアのためにも、親子間が良好であることも大切な要因です。
このように、母親と子供の花粉症の関係は、遺伝的な影響も大きいものの、親子で一緒に腸内環境をケアすることで症状を緩和させることが期待できます。そのための腸ケアの方法や食品成分については今後ご紹介していきます。
(参考文献)
Allegy 53, 885-890 (1998)
Respir Med. 100, 2177-2188 (2006)
PLos Genet. 11, e1005076 (2015)
J Allergy Clin Immunol. 130, 427-434 (2012)
Scientific Reports 9, 703 (2019)


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