日本は世界で最も睡眠時間の短い国であることをご存知でしょうか?OECDによると先進30カ国の平均睡眠時間は8時間23分で、最も長いエストニアは8時間50分でした。一方で、日本は7時間22分と1時間半もの開きがあります。睡眠時間の短い国は自殺率が高い傾向もあり、睡眠不足とストレスや精神への影響が懸念されています。

さらに、日本国内の睡眠障害の総患者数を年齢別・年代別で調査した結果によると、睡眠障害を抱える年齢は30代から増加し、60代70代でピークとなります。また、年々睡眠障害の総患者数は増加し続けています。
夜間の睡眠の質には色々な要因が関係していますが、今回は「糖質の摂り方」についてご紹介します。少しの食べ方の工夫で、今よりも睡眠の質を高めることができます。
日本人を対象にした糖質と睡眠の質の調査結果
働いていている日本人女性を対象とした研究で、糖質に焦点を当てた場合、睡眠の質が低下する食事パターンは以下の点に総括されています。1)
・菓子類や麺類の摂取量が多い(米には関連しないため、糖質の質が大きく関連)
・糖質の摂取量が増えるほど睡眠の質が低下
・月1回以上のエナジードリンクや砂糖入り飲料の摂取
・朝食抜きや不規則な食事

ただし、糖質の摂取量が少ない(炭水化物からのエネルギーが50%未満)の場合は、夜間の目覚めにつながること、睡眠障害のある人は総糖質摂取量が少ないという研究もあるため、糖質が少なければ良いという話でもありません。
この論文でも、糖質摂取量が多い人は、逆に米の摂取量が少ないとされています。日本人の米摂取量は年々減少し続けているため、「米からの糖質摂取量が低すぎる」ことが睡眠の質低下に関連している可能性もあります。2)

国立がん研究センターの研究では、米飯摂取の増加と糖尿病が関連するのは「1日3杯以上(特に女性の場合に関連、男性は関連なし)」ですので、1日2杯までに抑えることで過剰な糖質摂取を避けることができます。3)
糖質の摂り方の実践的アプローチ
では、良質な睡眠を得るためにすぐに実践できる糖質の摂り方をご紹介します。
1. 糖質の質と量を調整する
●糖質摂取を可視化して低GIの食品を試してみよう:
高GI(グリセミック指数)の食品の過剰摂取が睡眠の質を低下させます。特に、菓子類や麺類などの精製された糖質と睡眠の質の低下が報告されています。そのため、以下の点に気をつけてみてください。
・お菓子や麺類が好きな場合には、摂取量に注意しましょう。食べた回数をカレンダーに付けるなど可視化すると、過剰な摂取が抑制できます。
・白米も大切ですが、時には低糖質(低GI)食品を選ぶことで、深い睡眠が増加する可能性があります。例えば、白米や白パンではなく、全粒粉のパンや玄米を選びましょう。

●高糖質の摂取は昼間がおすすめ:
高糖質食品は、昼食時に摂取することで、夜間のレム睡眠(急速眼球運動)を長くしすぎることを防ぎます。麺類を食べるなら、昼食にパスタやなどを取り入れると良いでしょう。
私は、朝と昼に糖質(主に白米や雑穀米)を積極的に摂り、夜は野菜やタンパク質中心にすることが多いです。
●エナジードリンクや果糖飲料の飲み過ぎに注意しましょう:
眠気を覚ますためにエナジードリンクが人気ですが、月1回以上の摂取が睡眠の質の低下に関連していると報告されています。過度な摂取は慢性的な睡眠不足に陥るため注意が必要です。
ちなみに私はコーヒー好きですが、朝昼に1杯ずつです(ブラック)。エナジードリンクを飲んだことがないですし、ジュースも全く飲みません。

2. 糖質摂取のタイミングに気を付ける
●夕食のタイミングを考慮しましょう:
寝る約4時間前に夕食を取ることで、睡眠への影響を最小限に抑えます。消化に時間がかかる食事は避け、睡眠の質を高めるために消化しやすい食品を選びましょう。
どうしても仕事で遅くなる時は、18時におにぎり、21時に肉や野菜など、分食することで糖質摂取のタイミンを守ることができます。
●朝食はきちんと食べよう:
定期的な朝食を摂ることで一日のリズムを整え、睡眠の質を改善することができます。和食ベースの朝食、例えばご飯と味噌汁、小魚や野菜などを組み合わせたメニューが理想的です。でも忙しくてなかなか、という方はおにぎり一個でも糖質を摂取すると、体のリズムにスイッチが入るため、まずは習慣化しましょう。
●寝る前のスナックは控えめにしましょう:
寝る直前の高糖質スナックは避け、必要ならば低GIの軽食にしましょう。例えば、ナッツやヨーグルトが適しています。

糖質OFFダイエットのように、極端に糖質摂取を控えるような食事法も提案されていますが、糖質の抜き過ぎは睡眠の質を低下させ、健康にも美容にも大きな弊害があります。炭水化物の摂り方、その種類を上手に活用して、質の高い睡眠を目指していきましょう。上でお伝えしたことの中から1つずつでも始めてみて、日々の生活の小さな一歩が健康にとても大切だということを実感してみてください。
(参考文献)
- J Occup Health 56, 359-368 (2014)
- J Epidemiol 23, 132-138 (2013)
- Am J Clin Nutr 92, 1468-1477 (2010)


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