今日ご紹介する論文は、「短期間でのクランベリーエキスの摂取が、ヒトで腸内細菌叢を調整してビフィズス菌を増やす」という内容です。
クランベリーは、以前から尿路感染症の発症率の低下や、心血管疾患、神経変性疾患の予防など、さまざまな健康上のメリットが報告されています。
クランベリーには、アントシアニンやフラボノールなど、多くの種類のポリフェノールが含まれています。以前から、クランベリーの効果はこうしたポリフェノールが持つ高い抗酸化力によるものと考えられてきました。でも実はポリフェノールの多くは小腸で吸収されず大腸まで到達することがわかってきています。そのため、ポリフェノールの効果は大腸に運ばれた後に腸内細菌に利用されることで発揮されると考えられています。
また、クランベリー中に含まれるオリゴ糖も、腸内細菌のエサになります。この研究では、クランベリー中のポリフェノールとオリゴ糖を分析し、この図のような割合で両者が含まれていることを示しています。つまり、クランベリーの腸内細菌への良い効果は、ポリフェノールとオリゴ糖の両方が、善玉菌を増やすプレバイオティクス作用を発揮することに由来します。

クランベリーエキスを4日間摂取してビフィズス菌を増やす!
39名の健康な人が研究に参加し、4日間にわたってクランベリーエキスを摂取しました。このクランベリーエキスは、109mgのポリフェノールと125mgのオリゴ糖が含まれるサプリメント形状で与えられています(実際にクランベリー果実として摂取したらどのくらいの量か?については後述します)。
そして、16S rRNAシーケンシングで腸内細菌叢の変化が分析され、便と血漿中の短鎖脂肪酸の影響を測定しています。
<主な発見>
・クランベリーエキスは腸内の善玉菌であるビフィズス菌の数を有意に増加させる
・腸内細菌の多様性が有意に増加する
・腸の健康に欠かせない酪酸産生菌が増え、「酪酸」が増加する

ビフィズス菌は乳酸だけでなく、短鎖脂肪酸の一種である「酢酸」を作る菌です。この酢酸自体も健康に大切な働きをしますが、酢酸は腸内で酪酸産生菌によって利用され「酪酸」に変換されます。
(詳しくいうと、酢酸を酪酸に変換する酵素“butyryl-CoA:acetate CoA transferase”を持つ微生物によって変換されます)
そのため、クランベリーエキスの摂取によってビフィズス菌が増え、その結果として酪酸産生菌が酢酸を利用して酪酸を作り出したと考えられます。
ビフィズス菌が増えても酪酸が増えない=健康効果が弱い場合は、この酢酸を酪酸に変換できる菌が腸内に少ないことが理由です。
それにしても、4日間という短期間の摂取で腸内環境に良い影響を与えるクランベリーって、かなりの腸活食材だなと思います。

このクランベリーエキスは、実際のクランベリーでどのくらいの量なの?
論文中で使われているクランベリーエキスのサプリメントの1日量は、新鮮なクランベリー約60 gと記述されています。市販されているクランベリーを簡単に食事に取り入れる場合、ドライフルーツになったクランベリーがおすすめです。

新鮮なクランベリーは約90%が水分です。ドライフルーツになると、一般的に重量は元の新鮮な果実の10〜30%になるため、平均して
・新鮮なクランベリー60 g = ドライクランベリー12 g 程度と計算できます。
ドライクランベリー12 gは、大さじで言うとおよそ1杯程度になります。このくらいの量だと、毎日のヨーグルトやシリアル、サラダなどに加えるのにちょうど良い量ですね。
ドライクランベリーは市販品としても簡単に手に入りますので、ぜひ毎日の腸内環境ケアのアイテムとして取り入れてみてください。
(参考文献)
npj Biofilms and Microbiomes 10:18 (2024)


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