乳がんは女性にとってとても大きな健康問題です。
乳がんには、ER(+)とER(-)があります。ERとは、Estrogen Receptor(エストロゲン受容体)の略語です。エストロゲン受容体は、がん細胞の表面にできる分子のことで、エストロゲン受容体を持っている乳がんを「エストロゲン(ER)陽性乳がん」と言います。このタイプの乳がんは、エストロゲンを取り入れて増殖する性質があります。

一方で、エストロゲン受容体を持たない乳がんは「エストロゲン受容体陰性乳がん」と言います。エストロゲン受容体陰性(ER(−))の乳がんは治療が難しく、予後も悪いことが知られています。
最近では、食事を通じた予防方法が注目されています。今回のブログでは、その中でもブロッコリースプラウトとアシュワガンダという植物が持つ成分が、乳がんに対して良い効果を示している論文をご紹介します。これらの植物の組み合わせがどのように乳がんに影響を与えるのか、エピジェネティック(遺伝子発現の調整)と腸内細菌の観点から解説します。
果物と野菜の摂取と乳がん発生率の関係
・これまでの大規模な研究とデータ解析の結果
いくつかの大規模な研究とデータの総合解析(メタアナリシス)によると、果物と野菜の多い摂取量が乳がんの発生率を減少させることが示されています。具体的な研究結果を以下に紹介します。
- EPICコホート研究:
- この研究は、ヨーロッパにおける大規模な前向き研究で、果物と野菜の摂取がエストロゲン受容体陰性乳がんのリスクを有意に低減することを示しました。
- この研究は、ヨーロッパにおける大規模な前向き研究で、果物と野菜の摂取がエストロゲン受容体陰性乳がんのリスクを有意に低減することを示しました。
- 長期フォローアップ研究:
- ハーバード大による研究では、30年間にわたる追跡調査により、高い果物と野菜の摂取が乳がんのリスクを減少させることが確認されました。特に、アブラナ科および黄色/オレンジ色の野菜の摂取量が多いほど、乳がんリスクが低下する可能性が示されています。
- ハーバード大による研究では、30年間にわたる追跡調査により、高い果物と野菜の摂取が乳がんのリスクを減少させることが確認されました。特に、アブラナ科および黄色/オレンジ色の野菜の摂取量が多いほど、乳がんリスクが低下する可能性が示されています。

・メカニズムの考察
果物と野菜に含まれるビタミンや抗酸化物質、食物繊維などの成分は、以下のようなメカニズムで乳がんのリスクを低減させると考えられています。
- 抗酸化作用:
- ビタミンCやE、カロテノイド、ポリフェノールなどの抗酸化物質は、細胞の酸化ストレスを低減し、がんの発生を防ぎます。
- ビタミンCやE、カロテノイド、ポリフェノールなどの抗酸化物質は、細胞の酸化ストレスを低減し、がんの発生を防ぎます。
- エピジェネティック調節:
- 一部の植物成分は、遺伝子発現を調整し、がん抑制遺伝子の働きを高めます。
- 一部の植物成分は、遺伝子発現を調整し、がん抑制遺伝子の働きを高めます。
- 免疫調節:
- 食物繊維は、腸内の短鎖脂肪酸(SCFAs)の生成を促し、免疫系の働きを調節します。これにより、がん細胞の成長を抑制する免疫反応が強化されます。
- 食物繊維は、腸内の短鎖脂肪酸(SCFAs)の生成を促し、免疫系の働きを調節します。これにより、がん細胞の成長を抑制する免疫反応が強化されます。
- ホルモン調節:
- 一部の果物と野菜には、植物エストロゲンが含まれており、ホルモン依存性の乳がんのリスクを低減します。
これらのメカニズムを通じて、果物と野菜の摂取は乳がん発生率の減少に寄与しています。
ブロッコリースプラウトとアシュワガンダによる乳がん抑制の検証
今回ご紹介する論文では、ブロッコリースプラウトとアシュワガンダを餌に混ぜ、マウスに投与した際の乳がんに対する抑制効果を検証しています。また、マウスの腸内細菌叢も解析して変化を確認しています。ブロッコリースプラウトとアシュワガンダによって得られた結果は以下のとおりです。
<ブロッコリースプラウト>
主要成分「スルフォラファン」
- ブロッコリースプラウトは、スルフォラファンという強力な抗がん成分を豊富に含んでいます。スルフォラファンは遺伝子の働きを調整し、がん抑制遺伝子の活動を高めることで乳がん細胞の成長を抑えます。
<アシュワガンダ>
主要成分「ウィタフェリンA」
- アシュワガンダには、ウィタフェリンAという成分が含まれており、これもがん細胞の成長を抑制します。ウィタフェリンAは、遺伝子のメチル化を調整し、がん抑制遺伝子の働きを高めます。
組み合わせ治療のシナジー効果
- 相乗的な作用メカニズム:
- ブロッコリースプラウトとアシュワガンダの組み合わせは、それぞれ異なるメカニズムでがん細胞に働きかけるため、単独での治療よりも強力な抗がん効果を発揮します。
- 今回の研究では、腫瘍細胞の増殖抑制や、アポトーシスによる腫瘍細胞の生存率の低下が確認されています。

腸内細菌への影響
さらに、ブロッコリースプラウトとアシュワガンダの組み合わせ治療は腸内細菌の多様性を高め、健康に良い影響を与える細菌の増加を促進します。特に以下の細菌が増加しました:
- Ruminococcaceae: この細菌は、腸内で短鎖脂肪酸(SCFA)を生成し、抗炎症作用を持つことで腸の健康をサポートします。
- Muribaculaceae: この細菌も抗炎症作用があり、腸の健康を促進します。
これらの細菌は、SCFAの生成を通じて遺伝子の働きを調整し、乳がんの抑制に寄与します。SCFAは、遺伝子の発現を調整することでがん抑制遺伝子の活動を高めることが知られています。

ブロッコリースプラウトとアシュワガンダの組み合わせ治療は、遺伝子の働きの調整と腸内細菌の改善を通じて、ER(−)乳がんの発生と進行を効果的に抑制します。この組み合わせ治療は、新しい予防および治療の方法として期待されています。今後の研究で、この治療法の臨床的な有効性と安全性がさらに確認されることが望まれます。
(参考文献)
A novel combinatorial approach using sulforaphane‐ and withaferin A‐rich extracts for prevention of estrogen receptor‐negative breast cancer through epigenetic and gut microbial mechanisms
Scientific Reports volume 14, 12091 (2024)


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