便秘は多くの人々が経験する一般的な健康問題であり、その原因は非常に多岐にわたります。「便秘はちょっと辛いけど、我慢すれば大丈夫」と思っている方、実は便秘は死亡リスクを高めることが報告されてきています。
2010年のアメリカの報告では、便秘がある人とない人の15年後の生存率を比較したところ、便秘の人は生存率が4分の3になっていました。
他にも、心血管疾患のリスクや、慢性腎臓病リスクを上げることも報告されています。
このように、今から便秘をしっかりケアしておくことは、生涯の健康にとても大切です。
便秘を大きく分けると、がんや炎症性腸疾患などの病気を原因とする「器質性便秘」と、病気を伴わない「機能性便秘」の2通りです。
ここでは、日常生活で多くの人が悩んでいる「機能性便秘」についてご説明します。
機能性便秘とは?
機能性便秘は、原因となる明確な医学的または物理的理由が見当たらない便秘のことを指します。便通の頻度の減少、排便時の困難、硬いまたは塊の便などが特徴です。
ここでも、単純に「便秘」とまとめてしまい、便が出ずに悩んでお薬やサプリメントに頼っている方も多いのではないでしょうか?
でも、機能性便秘にも原因がいくつもあり、何が原因で自分が便秘になっているのかを知ることが大切です。
日頃悩んでいる便秘は「4タイプ」に分けられます
- 便の量が足りないタイプ
このタイプの便秘は、主に食事量の減少、特に食物繊維の不足や水分摂取量の低下によって引き起こされます。食物繊維は腸内細菌による発酵の基質となり、腸内環境を改善し、便の体積を増やして排便を促します。
水分は便を柔らかくし、その通過を容易にします。このタイプの便秘では、食事の改善とともに、発酵性の食物繊維を多く含む食品の摂取を増やすことが推奨されます。
- 大腸がじっとして動かないタイプ
結腸の運動が低下すると、便の腸内での移動が遅くなり、便秘が引き起こされます。女性ホルモンの変化、加齢、糖尿病、抗コリン薬の使用、パーキンソン病などが原因となることがあります。
腸内細菌は、短鎖脂肪酸を産生することで腸の運動を促すため、プロバイオティクスや発酵食品の摂取が役立つ可能性があります。
- 頑張っても便を出せないタイプ
肛門括約筋や恥骨直腸筋の異常、腹筋の筋力低下など、排便を助ける筋肉に問題がある場合に見られます。このタイプの便秘には、適切な運動や物理療法が効果的です。
また、腸内細菌の健康が全体の消化機能をサポートし、便通を改善することにもつながります。
- 我慢してしまう・気づかないタイプ
便意の低下や排便抑制により、排便が困難になるタイプです。高齢者や学童、女性に多く見られます。
生活習慣の見直し、ストレス管理、定期的な排便習慣の確立が重要です。腸内細菌の健康が整うことで、便意を正常に保つことにも寄与します。
実際の日常生活では、この4タイプをキッチリと分けられるとは限りません。どの原因も少しずつ関連していて便秘につながっている可能性があるため、一つずつ原因を探って改善していくことが良いでしょう。
自分の便秘タイプを理解して腸内細菌を上手に活用しよう
腸内細菌は、これらの便秘タイプのいずれにおいても、重要な役割を果たします。適切な腸内細菌のバランスと活動は、便の質と量を改善し、腸の運動性を促進し、便意を正常化することに寄与します。
食物繊維豊富な食事、水分摂取の増加、プロバイオティクスの摂取、適度な運動は、腸内環境を改善し、機能性便秘の予防と改善に有効です。
Gut Art Salonでは、今後のブログや動画で具体的なシーンごとに原因と解決策をご説明します。
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